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量子:量子コンピュータにおける逆伝播勾配降下法の開発成功

この度ディープラーニング等で使われる逆伝播勾配降下法(Backpropagation)を、NISQ型量子コンピュータ上で動作するアルゴリズムとして開発し、発表いたしました。

論文タイトルは「Quantum Circuit Parameters Learning with Gradient Descent Using Backpropagation」arxiv.org(https://arxiv.org/abs/1910.14266)に掲載されております。

 

■現在量子コンピュータは次世代のコンピューティング技術として注目を集めており、昨今の量子超越性の議論もあるように、現在のコンピュータでは計算する事が困難な問題、特に量子コンピュータの計算速度について注目が集まっておりますが、私たちは最適化問題や、量子化学計算のような組み合わせ問題を解く為だけではなく、AI分野(機械学習・ディープラーニング等)が行なっている特徴抽出器としての活用の可能性があると考えております。

すでに、発表している先行論文では、機械学習にて使われている主成分分析や、ディープラーニング等で使われるオートエンコーダなど、機械学習で使われるアルゴリズムを量子コンピュータ上で動かす事に成功しておりますが、この度の発表では、機械学習にて非常によく使われる、ニューラルネットワークのパラメータ更新の際に使われる逆伝播勾配降下法(Backpropagation)を、NISQ型量子コンピュータ上で動作するアルゴリズムとして開発しました。

量子コンピュータは、量子ビットがそもそも非線形な特性を持っている為、ディープラーニング等が本質的に行なっている特徴抽出器としての役割を、量子コンピュータ上で実現できると考えており、量子ビット数が拡張するにしたがって、より高い性能でデータの特徴を抽出できる可能性があります。

■図1参照;論文本文より回帰問題と分類問題の学習の結果

また、本手法を用いることにより、量子機械学習の学習段階においてパラメータ更新に使われている旧来手法(差分法)に比べても大幅な学習時間の削減が可能となります。論文本文では学習の際のパラメータ更新の時間比較を行い、回路の深さを変えての比較や、量子ビットの数を変えて比較した他の二つの手法と大きく差をつけて早いことが確認されました。

■図2参照;論文本文より差分勾配法と逆伝播勾配降下法のパラメータ更新時間の比較結果)

今後も様々な量子アルゴリズムを開発し、量子コンピューターの活用と社会実装に向け、研究開発に取り組んで参ります。

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