NEWS
ニュース

ニュースリリース:ReNom(リノーム)∞にTopological data analysis(TDA)を追加

(株)GRIDは、AI開発のフレームワーク「ReNom(リノーム)」に、新たな機能として、トポロジカルデータアナリシス(Topological data analysis、以下 TDA)を追加し、「ReNom TDA」のアプリケーションの提供を開始しました。

■背景と狙い
機械学習、深層学習を行う際には、様々なアルゴリズムで訓練データをモデリングし、複雑なデータの構造をどのように把握し、モデリングをしたら良いのかを考える必要があります。なぜならば、正しいアプローチを行わないと、学習が上手く進まない場合があるからです。
IoTで日々生み出されるデータは、非常に複雑な構造をしており、論文などであらかじめ結果が保証されているデータセットと異なります。それは、開発や分析を行うエンジニアが、手掛かりを自分自身の手で探しながら進めていかなければならないことを意味しており、難易度が全く異なります。
このようなデータを扱う上では、データ構造をある程度理解してモデリングする必要があり、それを実現する方法として「ReNom TDA」を開発しました。

 

■ReNom TDAとは
ReNom TDAとは、高次元データを位相空間(集合に位相の情報を付加した空間距離のない空間)にマッピングし、可視化・分析するためのモジュールです。データの形状を把握することや、変数同士の関係性を直感的に把握することで、データを解析するエンジニアのモデリングを助けます。また、データの前処理や、データ構造の把握に限らず、高度なプロファイリングツールとして活用することができます。例えば、複雑なデータ間のつながりを可視化することで、顧客データの分析や、マシンデータの解析、金融や不正アクセス、サイバーセキュリティの解析など、アイディア次第で様々なデータをプロファイリングすることが可能になります。

 

■TDA概要
TDAとは、位相幾何学(Topology)を用いた新しいデータ分析の手法で、位相空間でデータの形状を可視化し、データが持つ意味を抽出することができます。位相幾何学とは、切り貼りせず連続的に変形しても保たれる性質(輪っかや、空洞を特徴として考える)に注目し、位相空間で繋がりを考える数学の分野です。位相空間でデータの構造や密度を考え可視化することにより、従来の方法では、データを低次元化する際に失われていた特徴を失う事なく、データの特徴を維持したまま低次元で可視化することが可能になります。

 

■ReNom TDA特徴
ReNom TDAの特徴は2つあります。
(1) Python APIs
ReNom TDAは、Python APIsモジュールを提供しており、トポロジーを作るのに必要な様々なレンズや、複数のレンズの組み合わせでできたポイントクラウドを、位相空間に投影する事ができます。また、出来上がったトポロジーに、指定のカラーで色つけしたり、ノード内の値を取得したり、指定の項目を検索する事が可能になります。今後の拡張では、ユーザー自身が様々なアルゴリズムを追加できるようにしていきます。

(2) ReNom TDA GUI
ReNom TDAは、webアプリケーションでトポロジーを可視化することができます。コマンド一つでアプリケーションを立ち上げることができ、プログラムを書かずにデータの形状を可視化することができます。データをCSVから取り込んでアルゴリズムを指定して実行するだけで、複雑なデータを簡単に可視化・分析することが可能になります。

 

■今後の展望
ReNom TDAは、このReNom TDAのデータ分析で得られた結果を活用して、ディープラーニングやその他の機械学習のアルゴリズムに学習させるデータセットを切り出す機能や、複数の目的変数を並べて可視化できるような、データ分析者に使いやすい機能の開発を進めて参ります。

*当研究室は、株)グリッドと共同研究を行っております。

Page top