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ソフトバンク社・慶応大との共同研究:量子機械学習による通信故障診断システムの実証実験に成功 ~実機を用いた量子カーネル学習の応用可能性に大きな躍進~

曽我部研究室の研究チーム、ソフトバンク株式会社および慶應義塾大学の3者は、127量子ビット*のプロセッサーを搭載したIBM社製の超伝導型ゲート式量子コンピューターと、Q-CTRL社のエラー抑制システムを用いて、量子機械学習による通信サービス故障診断システムの実証実験に成功しました。

本研究では、ソフトバンクの通信故障診断用データセットを使用し、量子機械学習アルゴリズムの一つである量子カーネル学習*を活用した通信故障診断システムの評価を行いました。実機には、IBM社のゲート式量子コンピューター「IBM Quantum System One」(IBM-Kawasaki 127量子ビット)を使用しました。

 

IBM Quantum System One,    IBM HPより

 

シミュレーター*と実機*の比較評価結果によれば、Q-CTRL社のエラー抑制システムの導入により量子ノイズが大幅に低減され、30量子ビット時の故障原因推定性能82%を達成しました。このビット数は、現時点で実機を用いた量子カーネル学習での世界最高記録です。今後はさらなる量子アルゴリズムの応用範囲の拡大、量子ハードウェア性能の向上、ネットワークアーキテクチャ間の連携に向けた研究を推進します。

 

※本研究成果は、2024年9月15~20日に開催される「IEEE International Conference on Quantum Computing and Engineering(QCE24)」のTechnical session(QML)において論文が採択されており、当学会にて発表予定です。

 

詳細はソフトバンク社のブログ記事をご覧ください。

 

🔗関連サイト
・Q-CTRL社の論文紹介ページ”Technical manuscripts“で取り上げられました。

IBM Quantum DocumentationのページでBenchmarkとして論文が紹介されました。

・大学HPのお知らせはこちらから。

 

 


論文情報

題目:Parametrized Energy-Efficient Quantum Kernels for Network Service Fault Diagnosis
著者:Hiroshi Yamauchi, Tomah Sogabe, Rodney Van Meter
プレプリント:https://arxiv.org/abs/2405.09724


用語説明

量子ビット:量子コンピューターの情報の基本単位です。0と1の両方の状態を同時に扱えるため、一度に多くの計算を並列的に行うことができます。
量子カーネル学習:データを高次元空間にマッピングすることができるカーネル関数を使用し、その計算処理を量子コンピューター上で行って特徴を抽出することで、データをより簡単に分類または回帰させることが可能となります。
シミュレーター:量子コンピューターの動作を古典コンピュータ上で模倣するシステムです。実機を使用せずに、量子アルゴリズムの検証や性能評価が可能です。
実機:IBM社製ゲート式量子コンピューターなど、実際に動作する量子コンピューターです。実環境でのノイズやエラーの影響を考慮した精密な評価が行えます。

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